穹窿アーチ)” の例文
灰色の軍用混凝土シマン・ダルメで塗りかためられた穹窿アーチ形の天井が低く垂れさがり、やや隔ったところで、裸の電灯がひとつ冷酷な光を投げていた。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この蔽石それ自身穹窿アーチ形をなしているものがおおむね全部であって、別に穹窿形天井を後からくっ付けたり、入り口を有する廻廊式のものもあり
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
たとえば、アラビヤの「ボッカ・キュイ宮」の壮麗な拱門のような、官能的な異様な美しさをもった穹窿アーチ形の洞道だった……。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
高い高い穹窿アーチ形の格天井ごうてんじょう……そこに吊された何千年来のものともわからぬ古風な龕灯がんどうや、どっしりとした井桁の枠のまったこれも穹窿形の円窓や
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
一行の前には、穹窿アーチ形の天井をもった地向暗斜道ジオシンク・サブウェイが、ゆるい傾斜を保ちながら、「石炭市コール・シティ」の横坑のようなおそるべき単調さで無限につづいていた。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
穹窿アーチ形の浴槽の中に菫と蕃紅花の匂いのする別々の油湯が湛えられ、匂いの好みに従ってどちらかへはいる。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
大階段からは薄暗い中廊下を越えて、羅馬ローマ風の大穹窿アーチくぐると、ホールへ出られる。が、同時にその大階段の下から鍵の手に曲って小階段を伝わると、地下へも抜けられるようになっている。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
寝椅子、長椅子ソーファ、安楽椅子、大卓子テーブル等のゴタゴタした調度の間を通り抜けると、向う側が穹窿アーチ形にり抜かれた厚い壁になって、どっしりとしたとばりすそいている。ここが、未亡人の寝室であった。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
穹窿アーチ越しに居間の椅子を指し示した。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)