穉子をさなご)” の例文
優しく人をめぐみがほなる天使、再會して相悦べる靈ども、金笛きんてきの響に母の懷に俯したる穉子をさなごなど、いづれ自然ならざるなく、看るものは覺えず身を圖中にきて、審判のことばに耳を傾く。
他の二人は本所三目みつめの上屋敷にゐた井上栄三えいさんの母と穉子をさなごとであつた。栄三の母は子を抱いて死んでゐた。其他同じ上屋敷の平井東堂の家では婢が一人死んだ。平井の事は前に渋江抽斎伝中に記した。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)