稟賦ひんぷ)” の例文
さればこそをぢ君の御腹立をも申解まうしとかばやとさへ思ふなれ。おん身には好き稟賦ひんぷあり。學ばゞ一廉ひとかどの人物ともなるらん。
一体僕は稟賦ひんぷと習慣との種々な関係から、どこに出ても傍観者になり勝である。西洋にいた時、一頃ひところ大そう心易く附き合った爺いさんの学者があった。
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
日本でも野猪の勇者あるをいうが、共同の力強きを言わぬは、日本の野猪にはその稟賦ひんぷを欠くか、または狩り取る事夥しくて共同しょうほど数が多からぬか、予は弁じ得ぬ。
しかしある人は他の人よりも多くの稟賦ひんぷを恵まれ、そのより多くの力をもって指導者の位置につくことができる。あるいは、つかねばならぬ。生来の芸術家はこの種の人である。
世界の変革と芸術 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)