稚市ちごいち)” の例文
とうに四年前——滝人が稚市ちごいちを生み落して以来というものは、一族の誰もかもが、己れの血に怖ろしい疑惑を抱くようになってきて
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
まず、稚市ちごいちを階段の中途に裾えて足でおさえ、隠し持った二本の筒龕燈つつがんどうを、いつなんどきでも点火できるよう、両手に握り占めた。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ああ、それじゃ、稚市ちごいちの身体を喰べさせようって云うの。まるで、この仔鹿かよの形は、あの子の身体にそっくりじゃないの。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)