秀頼ひでより)” の例文
これにくらべると、秀頼ひでよりと相抱いて城とともにほろびた淀君よどぎみの方が、人の母としては却って幸いであったかもしれない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「見い! この長光で秀頼ひでより公のおしるしをいただいて、お祖父様の顔に突きつけてみせるぞ」
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
それが秀頼ひでより公初め真田幸村等の薩摩落さつまおちという風説を信じて、水の手から淀川口よどがわぐちにと落ち、備後びんご安芸あきの辺りに身を忍ばせていたが、秀頼その他の確実に陣亡じんぼうされたのを知るに及んで
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
増田長盛ながもりというような人と、気が合わなかったのが原因の一つで、秀吉の愛妾の淀君なるものが、実子秀頼ひでよりを産んだところから、秀頼に家督をとらせたいと、淀君も思えば秀吉も思った。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
次に、拾君ひろいぎみを生んだ。後の秀頼ひでよりである。
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)