石切いしきり)” の例文
それからまた、話はもどり、下り松で果し合いのあった朝、おれはあの近所だから見ていたという石切いしきりが現れる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蔵前くらまえの八幡町、森田町、片町かたまち須賀町すがちょう(その頃は天王寺ともいった)、茅町かやちょう、代地、左衛門河岸さえもんがし(左衛門河岸の右を石切いしきり河岸という。名人是真ぜしん翁の住居があった)
と漸くに船を急がせ石切いしきり河岸へ船を附けて、浅草福井町の米倉屋孫右衞門よねくらやまごえもんと申して奉公人の二三人も使って居ります可なりの身代の人でございますが、自分のうちへ連れて参りました。
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
石切いしきりの仕事は今は自由労働である。好きなだけ働く。つまり採掘の本数で賃銀を受ける。標準は「五十ごとう」といって幅一尺、厚み五寸、長さ三尺である。これに準じ「四十よんとう」とか「六十ろくとう」とかいう。
野州の石屋根 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
石切いしきりの職人たちは、どうなることかと一言もなくこわばっていたが、そのしおを見ると、白洲しらすから解かれたように、われがちに起って谷間へ仕事に降りてゆく——
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「親代々、石切いしきりだからよ。おれがいってるのは、吉岡家の話だ。嘘だと思うなら、太閤様の後をみねえ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)