はつき)” の例文
お利代は大きい眼を屡叩しばたゝき乍ら、未だはつきりと自分の心を言出しかねる樣で、『恁うして先生のお世話を頂いてると、私はもう何日までも此儘で居た方が幾ら樂しいか知れませんけれども。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そんなら俺も彼奴あいつの事を素破拔すつぱぬいてやらう、と氣が立つて來て、卑怯な奴等だ、何も然う狐鼠狐鼠こそこそ相談せずと、退社しろなら退社しろとはつきり云つたら可いぢやないか、と自暴糞やけくそな考へを起したが
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)