ながむ)” の例文
却説かへつてとく鷲郎は、今朝けさより黄金丸が用事ありとて里へ行きしまま、日暮れても帰り来ぬに、漸く心安からず。幾度いくたびか門に出でて、彼方此方かなたこなたながむれども、それかと思ふ影だに見えねば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
此満足したるまなこて蛙飛ぶ古池をながむる身となりしこそ、幸ひなれ。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
たゞ何心なく他をながむる眼にしてははなは凄味すごみを帯ぶ。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)