直衣なおし)” の例文
重盛は、烏帽子に直衣なおしという平服姿で、さらさらと衣ずれの音をさせながら、終始、落着き払って、清盛の座所にやってきた。
やがて道人は壇の上に坐ってかじを書いて焼いた。と、三四人の武士がどこからともなしにやって来た。皆きいろな頭巾ずきんかぶって、よろいを着、にしき直衣なおしを着けて、手に手に長いほこを持っていた。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
泰文はひとえ直衣なおしを素肌に着、冠もなしで広床の円座にあぐらをかいていたが
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
重盛は、直衣なおしに弓矢を負い、維盛は束帯にこれも弓矢をつけ、ものものしいいで立ちでつき従った。