直会ナホラヒ)” の例文
此旋頭歌は、もはや厳粛一方でなく、ほかひの後に、直会ナホラヒ風のくづれの享楽の歌が即座に、謡はれた姿を留めて居るものではないか。
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
古風に謂ふと、儀式の後に直会ナホラヒがあり、此時には、伝統ある厳粛な歌を謡うて、正儀の意のある所を平俗に説明し、不足を補ふことを主眼とした。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其後に、直会ナホラヒの座で、新しい叙事詩か、古くして権威のなくなつた唯の歴史、古人の哀れでもあり、おもしろくもある伝承などを語り聞かせたであらう。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
直会ナホラヒは、一口に言へば、精進落ちともいへる。だが、精進とは、仏教の考へから、魚を食はぬ事を斥していふが、本来は、禁欲生活・物忌み生活を言うた語である。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
神事の「解忌トシミ」として行はれた直会ナホラヒ肆宴トヨノアカリ以外にも、外国式の宴遊の儀が加へられて来た。
今の神道では、それが大分くだけて、正式の祭りの後に、神社で直会ナホラヒといふものをする。
古代人の思考の基礎 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さうして直会ナホラヒなる新室のうたげを行うた事と考へるのが、間違ひとは思はれない。
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
今の民間の宴会は、神事の直会ナホラヒ以後の形をとつてやつて居るのである。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)