痩地やせち)” の例文
この村では痩地やせちの作物に適せぬ所をアテといい、あの畑はアテだからいかぬなどという。この言を聞いて後、諸国のアテラたとえば
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼は、山間の八千石に足らぬ痩地やせちと、数百の家臣と、古びたままの小城とをけて、乱世の中からさらに乱世へと臨んで行ったのである。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せた畑を、小作の子が、聞き覚えの味噌煮唄みそにうたをどなって通った。彦太は、この痩地やせちと百姓との宿命を、のろうように、腕ぐみしていた。日が暮れても、たね油の灯がともせない村だった。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、馬も鶏も、生きるにたえないような痩地やせちを見わたして
(新字新仮名) / 吉川英治(著)