男児おのこ)” の例文
旧字:男兒
両親並びて、五六歳の男児おのこの父の膝にりたるは、武男が幼きころの紀念なり。カビネの一人ひとりうつしの軍服なるは乃舅しゅうと片岡中将なり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
主翁は逐一聞いた上で、煙管きせるをポンと灰吹はいふきにはたき、十二三の召使の男児おのこを呼んで御寮様ごりょうさまに一寸御出と云え、と命じた。やがてお馨さんの母者人が出て来た。よくお馨さんに肖て居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「おとうさま、川島の兄君にいさんが」と叫びつつ、花をさげたる十ばかりの男児おのこ武男がそばに走り寄りぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
たちまちすきをねらう二人ふたり曲者くせものあり。尺ばかり透きしとびらよりそっとかしらをさし入れて、また引き込めつ。忍び笑いの声は戸の外に渦まきぬ。一人ひとりの曲者は八つばかりの男児おのこなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)