産霊ムスビ)” の例文
旧字:産靈
其魂を産霊ムスビと言ふ(記・紀)。産霊は、神ではない。神道学者に尋ねても、産霊神と、神とを一処にする人は、まづあるまい。
古代人の思考の基礎 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さうして其霊魂は、肉体を発育させる——さう言ふ風な信仰が、更に鎮魂タマフリの技術を発達させることになつたのである。だから、産霊ムスビは信仰で、鎮魂は呪術といふことになる。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
興台コトヾ——正式には、興言台と書いたのであらう——産霊ムスビは、後代は所謂詞霊コトダマと称せられて一般化したが、正しくはある方式即とを具へて行ふ詞章コトの憑霊と言ふことが出来る。
産霊ムスビ信仰なのだから、此信仰の分岐した姿の、産霊神を以て先祖とする考へは、幼神と布教者との関係よりも、もつと根本的なものに、還すことになると信じたのであらう。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
祝詞以前の古代詞章の神であつた此神は、同時に、産霊ムスビの神の所産と考へられてゐた。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)