甘美うま)” の例文
果物も培養の結果段々甘美うまいものが出で来るやうに成つたが、そのうち堅い果物が段々柔かくなつて来るといふのも一つの傾向である。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
唇がつけられないほど熱い酒だつたが、冷い舌に沁みて、しびれるやうに甘美うまかつた。親爺は臺所の電氣を店の間のさかひの障子ぎはへ引つぱつて來た。
(旧字旧仮名) / 林芙美子(著)
マーキュ なんぢゃ、いっまづいのをば甘美うまい? はて、うま意味いみりやうぢゃの。賢女けんぢょ々々。
欧羅巴ヨーロッパはピラネエ山脈に終り、あふりかはピラネエ山脈にはじまることの、西班牙スペインは「白い大陸」と、「黒い大陸」の鎖だことの、やれ、ムウア人の黒い皮袋へ盛られた白葡萄酒の甘美うまさよ! だの
「富限者の子供は、いつも甘美うまかもの食いよっとじゃもの、あぎゃんくさったバナナば、恩にきせよる……」
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
必要なる事はその家によつて色々違ふ事は勿論であるが、一例を言へば飯炊きに骨折るよりも、副食物の調理に骨を折つた方が、よほど飯は甘美うまく喰へる訳である。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
今日は行軍で四里ばかり歩いた。田舎屋で葡萄ぶどうを食べて甘美うまかった。皆百姓は忙がしそうだ。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
父は甘美うまそうにそれを食った。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)