玉簪ぎょくさん)” の例文
そしてはや、楽府がくふの仙楽と満庭の万歳のうちに式を終って、今しも袞龍こんりょう錦衣きんいのお人影が、侍座じざ玉簪ぎょくさんや、侍従の花冠はなかんむりと共にたま椅子いすをお立ちあらんと見えたときであった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
晃然きらりとあるのを押頂くよう、前髪を掛けて、扇をその、玉簪ぎょくさんのごとく額に当てたを、そのまま折目高にきりきりと、月の出汐でしおの波の影、しずか照々てらてらと開くとともに、顔を隠して、反らした指のみ
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)