狭苦せまぐる)” の例文
旧字:狹苦
こんなにみんな大きくなって、めいめい一部屋ひとへやずつを要求するほど一人前いちにんまえに近い心持ちをいだくようになってみると、何かにつけて今の住居すまい狭苦せまぐるしかった。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
薄暗く狭苦せまぐるしい自動車の箱の中に、ムッとする男の体臭丈けが、熱い風の様に感じられた。とうとうその時が来たのだ。巨大な蠍は真赤な鋏で、彼女をおさえつけてしまったのだ。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)