狐鼠こそ)” の例文
昔東京では提灯けといって、言わば狐鼠こそ々々と取片附けるというような葬いは、夜の引明けに出したものだそうであるが、それ程ではなくともこうした朝早くの葬式は
寺町 (新字新仮名) / 岩本素白(著)
「一つ、天下を取ってみようとか、世間の貧乏人を救ってみようとか。——何とか目的がなくっちゃ、狐鼠こそ狐鼠だろうじゃねえか。——ところで今、世の中を見ると、天明の大飢饉だいききんだ」
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜見店よみせへ参りまして古着屋から小僧さんに麻風呂敷に掻巻かいまき三布蒲団みのぶとん背負せおい込ませ、長家の者に知れない様にお父さんに半纏を着せたいと云うので段々と狐鼠こそ/\買物をして参りますが
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)