爾汝じじょ)” の例文
一日いちじつ島田はかつて爾汝じじょの友であった唖々子とわたしとを新橋の一旗亭に招き、俳人にして集書家なる洒竹大野しゃちくおおの氏をわれわれに紹介した。
梅雨晴 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
とにかく種々嫌疑けんぎの雲は千々岩の上におおいかかりてあれば、この上とても千々岩には心して、かつ自ら戒飭かいちょくするよう忠告せよと、参謀本部に長たる某将軍とは爾汝じじょの間なるしゅうと中将の話なりき。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
もとより爾汝じじょの間柄ではなかった。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
折々政界に波瀾の起る時大臣になられる松本烝治氏とも、わたくしは爾汝じじょの友として巴里パリーに再会し、帰朝後は慶応義塾の教員室で三たび邂逅して、偶然の会談に興を催したことがあった。
木犀の花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)