燐寸箱マッチばこ)” の例文
家は今申した通り手狭てぜま至極しごくなものであります。門を出て右の坂上にある或る長者ちょうじゃこしらえた西洋館などに比べると全くの燐寸箱マッチばこに過ぎません。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
空気の摩擦まさつがはげしくなって、艇の外側はだんだん熱をおびてきた。このいきおいで落下がつづけば艇はぱっと燃えだし、燐寸箱マッチばこに火がついたように、一団の火のかたまりとなるであろう。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あら御連おつれがあるのね」と糸子はくびをもとへ返す。返すとき前に坐っている甲野さんと眼を見合せた。甲野さんは何にも云わない。灰皿の上にたてに挟んだ燐寸箱マッチばこの横側をしゅっとった。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)