熔鉄ようてつ)” の例文
僕は午前九時になると、いつものように職工服に身を固め、亜細亜アジア製鉄所の門をくぐり、常の如く真紅まっかにたぎった熔鉄ようてつを、インゴットの中に流しこむ仕事に従事した。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
籠城側は新手あらての戦術に出て、城壁にたかる寄手の兵にえたぎった熔鉄ようてつをふりまいた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さいわいにも、彼は今、片方の脚が痛かった。少し無理に駈けたので、その脚は、まるで熔鉄ようてつの中へ踏みこんだように、かっかと熱を持って、一歩ごとに、激痛が足の裏から眼へ突き抜けて来る。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
キューポラは爆発して熔鉄ようてつが五百メートル四方にとび散ったということです。この暴動の群衆の中に、奇怪なる人造人間ロボットが多数まじっていて、いずれも挺身ていしん破壊はかいに従事したということです。次に命令です。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)