煽動おだ)” の例文
「そいつをお前が初めてあの山で夜番して、天狗を退治たちうんやろ。えらい/\。」と、仙太郎は煽動おだてかけた。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
御布施おふせが段々少くなるのに氣を腐らせ、少し人間の甘い癖に、文字花に夢中になつて居る猪之助を煽動おだてゝ、筋書まで拵へて、二人の男を殺さしたのさ。
鬚野先生以外にお頼みする人が居ないのだから……と恐ろしく煽動おだてやがったから特別を以て引受けてやった。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
奥様をうまく煽動おだてて替玉に使い御自分だけがうまい汁を吸って世間の眼を暗ませようとなさるなんて——
鷺娘 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
処でおらの旦那がお世辞半分に新聞記者の天職をさかんなりと褒めて娘も新聞記者につもりだと戯謔面からかひづら煽動おだてたから、先生グツト乗気になつて早やむこ君に成済なりすましたやうな気で毎日入浸いりびたつてゐる。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)