無絃むげん)” の例文
甲野さんが「無絃むげんの琴をいて始めて序破急じょはきゅうの意義を悟る」と書き終った時、椅子いすもたれて隣家となりばかりを瞰下みおろしていた宗近君は
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
という小冊子しょうさっしとなって世に残されたからである。「桐蔭軒」とは琵琶道場のわきに大きな桐の木があったのでその名があり「無言」は「無絃むげん」の意をもじったのではあるまいか。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「君は無絃むげん素琴そきんを弾ずる連中だから困らない方なんだが、寒月君のは、きいきいぴいぴい近所合壁きんじょがっぺきへ聞えるのだからおおいに困ってるところだ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある人は天地の耿気こうきに触るると云うだろう。ある人は無絃むげんきん霊台れいだいに聴くと云うだろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
無絃むげん素琴そきんを弾じさ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)