無恥むち)” の例文
彼は無恥むちらしい眼を挙げておぬいさんを見上げ見おろした。その時、ふと考えついたのは、おぬいさんがすでに意中の人を持っているなということだった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
因果いんがめぐる)……と、おかしくもなってくるし、(これは、苦手)と、時々、信雄の人の好さから来る無恥むちと無反応に、処置しょちのないおそれも感じさせられた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手をかけなくても栄養もれ、美味でもあり、見た目も美しいものを、いたずらに子供をだますような料理をつくることは、料理人の無恥むちを物語るものであろう。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
そういうこととはしらず、ショーウインドーの中のウルランド氏は悠々と公衆の面前で用をたしている。市民はおどろきかつあきれ、やがてはとめどもなく笑いだした。なんという無恥むちであろうか。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)