無宿むしゅく)” の例文
一は、いま海内かいだいにときめく江戸南町奉行大岡越前守忠相。他は、酒と心中しよか五千石取ろかなんの五千石……とでも言いたい、三がい無宿むしゅく、天下の乞食先生蒲生泰軒。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
……藤波だかうじ波だか知らねえが、へたに青地を追いおとそうというなら、江戸の役割三百五十六部屋、これにガエンと無宿むしゅくを総出しにし、南の番所を焼打にかけてしまう
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
と此の勘次と云う奴は流山ながれやま無宿むしゅく悪漢わるいやつでございますから
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
異名いみょう日本左衛門こと無宿むしゅく浜島庄兵衛、年二十七歳
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無宿むしゅく心学者しんがくしゃ魚心堂先生ぎょしんどうせんせいにお越しを願おう——知らずのお絃、白ちりめんの蹴出けだしが闇黒やみにおよいで、尻っぽに火のついた放れ馬のよう、それこそ、足もと知らずにスッ飛んで行く。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)