為上しあ)” の例文
旧字:爲上
いずれにしても、暁はやく二人が未だ一しょにいる時の情景で、こういう事をいっているその心持と、暁天の清潔とが相待って、快い一首を為上しあげて居る。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
もうこれだけ為上しあげれば幾らになる、そうしたらお父っさんが帰って驚くだろうと励んでいたので、近所の娘達と親しくしないお玉も、退屈だと思ったことはなかったのである。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
これだけの意味だが、こう一首に為上しあげられて見ると、まことに感に乗って来て棄てがたいものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
始終何物かにむちうたれ駆られてゐるやうに学問といふことに齷齪あくせくしてゐる。これは自分に或る働きが出来るやうに、自分を為上しあげるのだと思つてゐる。其目的は幾分か達せられるかも知れない。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)