火浣布かかんぷ)” の例文
「医書、儒書会読講釈」の看板を掛け、この方の弟子だけでもおよそ二百人。諸家しょけの出入やら究理機械の発明、薬草の採集に火浣布かかんぷの製造、と寸暇もない。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは合羽じゃ、長合羽じゃ! 平賀源内の発明にかかわる、火浣布かかんぷ羅紗ラシャ)でこしらえた雨よけ合羽じゃ。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかし源内がそのほかに最も得意としていたのは火浣布かかんぷというのとエレキテルとう器械との二つでした。
平賀源内 (新字新仮名) / 石原純(著)
もう、天満浪人だの隠密おんみつだの、蜂須賀家だのッて、そんな物騒な渦の中へは飛び込むまいぞ。そうともそうとも、早く一つエレキテルや火浣布かかんぷでも仕上げて、大金もうけをしなくっちゃ……
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その布のよごれは火にあらわれるようにとれてしまうとうので、火浣布かかんぷと名づけたのでした。
平賀源内 (新字新仮名) / 石原純(著)
舶載はくさいの物産や、諸国の織物、工芸品、会主鳩渓の出品になる珍しい火浣布かかんぷとか、エレキテルの機械とかをよいほどに見流してきた、黒羽織黒小袖という目立たない服装をした一人の武士が
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火浣布かかんぷというのは、秩父の奥で見つけ出した石綿をつかって、それで織った布なのですが、これで唐米袋と言われているような袋をつくると、それは火に焼けないばかりでなく
平賀源内 (新字新仮名) / 石原純(著)