濁浪だくろう)” の例文
近き流を見るに、濁浪だくろう岸を打ちて、堤を破りたるところ少からず。されど稲は皆つつがなし。夜軽井沢の油屋にやどる。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
乾坤漠々けんこんばくばく、唯墨を流したらんようなる闇の中に、とうとうたる濁浪だくろう天をして、人も、獣も、家も、樹も、有情非情の差別なく、世界の所有物あらゆるものはことごとく水に漂いて、叫喚地獄の大苦患だいくげんもかくや
片男波 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)