濁江にごりえ)” の例文
夜盗と放火の年の瀬は来れり。市会議員捕縛の噂もさして面白からず。濁江にごりえに生れしからはとてもの事に来年はもう一層輪をかけた驚天動地の怪事件。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
濁江にごりえのねぶたき、あるは、ややあか
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
濁江にごりえ漬木つけぎの陰のかきつばた 東賀
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
後藤宙外子ごとうちゅうがいしが作中たしか『松葉かんざし』と題せし一篇あり。浅草の風俗を描破する事なほ一葉いちよう女史が『濁江にごりえ』の本郷丸山ほんごうまるやまにおけるが如きものとおぼえたり。
葡萄棚 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)