ほとり)” の例文
あるいは大海原おおうなばらの波の上に、あるいは細渓川ほそたにかわの流れのほとりに、つきぬ睦語むつごとかたり明かし、東雲しののめの空に驚きては天に帰りぬ。
(新字新仮名) / 国木田独歩(著)
されど治子は一度われをこの泉のほとりに導きしより二年ふたとせに近き月日を経て今なおわれを思いわれを恋うてやまず、昨夜の手紙を読むものたれかこの清き乙女おとめあわれまざらん。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この夕は空高く晴れて星の光もひときわあざやかなればにや、に入りてもややしばらくは流れのほとり逍遙しょうようしてありしが、ついに老僕をよびて落ち葉つみたる一つへ火を移さしめておのれは内に入りぬ。
(新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この泉のほとりにて行きあう年若き男女の旅人のみは幾度か幾度か代わりゆき、かつ若者に伴いし乙女おとめ初めは楽しげにこの泉をくめどたちまちその手を差しいれてこれを濁し、若者をここより追いやりつ
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そして水のほとりをとぼとぼとたどって河下かわしもの方へと歩いた。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)