潮霧ガス)” の例文
夜になると潮霧ガスが深くこめて、街を歩くと服がしっとりとするようであった。街中の灯が、潤んで見えた。三分おきに街の上では霧笛が鳴った。
帯広まで (新字新仮名) / 林芙美子(著)
風が東に𢌞つて潮霧ガスが襲つて來るのだと氣がついた時には、その黒かつたものは黒眞珠のやうな銀灰色に光つて二三町と思はれる距離に逼つてゐた。
潮霧 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
重い冷たい潮霧ガス野火のびの煙のように濛々もうもうと南に走って、それが秋らしい狭霧さぎりとなって、船体を包むかと思うと、たちまちからっと晴れた青空を船に残して消えて行ったりした。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
北人の云ふ潮霧ガスとはそれだ。
潮霧 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)