漸進ぜんしん)” の例文
中軍からひらいている全陣形の綜合的陣容もまた極めて念入りな主守漸進ぜんしんの大事を取っているものであり、急潮をなす気勢はまず見られなかった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その組み合わせを示すためには、数字かアルファベットの文字かを置き代えてもよさそうだった。ある者は、一つの音響形式の漸進ぜんしん的展開の上に、作品を組み立てていた。
彼は、これまでのいくつかの戦争において、いつも敗戦の原因となった漸進ぜんしん主義や打診主義を排し、全国軍の重攻撃兵器を一つに集めて、猛烈なる大攻撃にうって出る主義だった。
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ところでこのような変化の態様に、合法的、平和的、漸進ぜんしん的なものと、非合法的、暴力的、激発的なものとがあって、一般に前の方を進化、改革、改良などといい、後者を革命という。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
偶然家と漸進ぜんしん家との、命をかけての争いが始まることになったのでした。
マデリン嬢の病には、熟練した医師たちもはやずっと前からさじを投げていた。慢性の無感覚、体の漸進ぜんしん的衰弱、短期ではあるが頻繁ひんぱん類癇るいかん(2)性の疾患などが、世にもまれなその病の症状であった。
その西部の一端にいま、妖しいキラめきを持つありの大群みたいな列が、これも東へ東へと漸進ぜんしんしてくるのがわかる。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)