演者わたし)” の例文
これに就いては、演者わたしは語ることをやめる。この卑劣なるふざけ方には人道の上から云って組したくはない。かれらは笑いに笑った。
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
こうずけずけ判り切ったことを云われては、彼女の同情者の立場にある演者わたしとしては困る。が、長屋の独身男子たちは、演者よりも困ったらしい。
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
長屋同志の面々も仰天した、寧ろ長屋全体が仰天したと云っても、演者わたしとしては無責任ではないと思う。
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
演者わたしも思わずひざを乗出したが、——いや待たれよ、惨劇は展開しなかった、展開どころか人影はむしろつぼんだ、そのときただひと声、「きゅう」というようなうめきが聞えたばかりである。
若殿女難記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)