溝渠ほりわり)” の例文
左手にはどす黒い溝渠ほりわりをへだてて、川口改良工事第六号埋立地の荒漠たる地表がひろがっていて、そのうえを無数の鴎が舞っていた。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
東京を流れる六十九筋の溝渠ほりわりや川の底から一年のあひだに浚渫しゅんせつされる泥土の量が二万立方坪にも近いといふ事実は大して人々を驚かすものではない。
水に沈むロメオとユリヤ (新字旧仮名) / 神西清(著)
自然の風物は如何にも南國的であるが、既に柳河の街を貫通する數知れぬ溝渠ほりわりのにほひには日に日に廢れゆく舊い封建時代の白壁が今なほ懷かしい影を映す。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
自然の風物は如何にも南国的であるが、既に柳河の街を貫通する数知れぬ溝渠ほりわりのにほひには日に日に廃れてゆく旧い封建時代の白壁が今なほ懐かしい影を映す。
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その夜から数日ののち、夕暮どきの混雑にまぎれて二人の幼い恋人たちは或る造船所の裏手から一隻の破れた小舟を盗み出して隅田川の下流に近い埋立地の溝渠ほりわりぎ上つて行つた。
水に沈むロメオとユリヤ (新字旧仮名) / 神西清(著)
黄昏たそがれの街がものうく横たはつたまま、そつと伸びあがつて自分の溝渠ほりわりに水鏡した。
水に沈むロメオとユリヤ (新字旧仮名) / 神西清(著)
溝渠ほりわりやみうち病院びやうゐんの舟は消えゆき
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
青き青き溝渠ほりわりの光は暮れてゆく……
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うす溝渠ほりわり陰影かげ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)