清浄無垢しょうじょうむく)” の例文
旧字:清淨無垢
貴君あなたなどは、すべての責任を妾に負わせようと遊ばす。妾が、清浄無垢しょうじょうむくな青木さんを迷わしたようなことをお云いになる。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そのはにかんでいる様子は、今日まで多くの男をだまして来た女とは露ほども見えないで、清浄無垢しょうじょうむく乙女おとめがその衣物を一枚一枚がれて行くような優しさであった。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
それを一枚一枚脱ぎ去って、清浄無垢しょうじょうむくの魂を見出した時に、初めて、その魂に着せる着物が恵まれねばなりませぬ、そのとき恵まれた着物のみが、本当に私の着物でございます。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
由来子供は——殊に少女は二千年ぜんの今月今日、ベツレヘムに生まれた赤児あかごのように清浄無垢しょうじょうむくのものと信じられている。しかし彼の経験によれば、子供でも悪党のないわけではない。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)