旧字:清正公樣
船のつけてあるところは、三河様よりこっちよりの細川邸の清正公様せいしょうこうさまのそとのところだった。夕潮が猪牙船ちょきの横っぱらをザブンザブンとゆすっていた。
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
僕は始め清正公様せいしょうこうさまにいるかったいの乞食こじきがお金をねだる真似まねをしているのかと思った。それでもあのおしゃべりの八っちゃんが口をきかないのが変だった。
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)
家の近くに法華寺の清正公様せいしょうこうさまのお堂があり、そこのお堂の縁をメンコの道場として夢中になった。
此の日芸者小兼は早く起きて白金の清正公様せいしょうこうさまへおまいりきました。一体芸者しゅは朝寝ですが、其の日は心がけて早く起き、まだ下女が焚付たきつけて居て御飯ごぜんも出来ないくらいの所へ