浸水あか)” の例文
漁夫たちは艪をこぎながら、帆綱を整えながら、浸水あかをくみ出しながら、その黒い石ころと、模範船の艫から一字を引いて怪火かいかのように流れる炭火の火の子とをながめやる。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そして舷から身を乗り出して、子供がするように、水をいだり、浸水あかをかき出したりした。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
君の兄上は帆綱を握って、舵座かじざにいる父上の合図どおりに帆の上げ下げを誤るまいと一心になっている。そしてその間にもしっきりなしに打ち込む浸水あかを急がしくんでは舷から捨てている。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)