流伝るでん)” の例文
旧字:流傳
この時の記録は幕府の直轄地内のものだけが、代官某の報告によって、江戸の市中の好事家こうずかの間にまで流伝るでんして、幾つもの随筆類に掲げられている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その本のなかでは世に流伝るでんしている中将姫ちゅうじょうひめの物語が、俗見とは全く違った方角から取扱われている。『死者の書』は鶴見が数年前から見たいと心がけていながら、手に入れ難かった本の一つである。
自分らの聴き知る限りでは、隠して持ってきた穀物は稲ではなく、おくれてこのくに流伝るでんした大麦であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
是を海上生活の最も大切な問題として、遊女は歌にうたい、船人は淋しい日にそれを憶い起したので、遠い万葉の昔から、この一語の流伝るでんは絶えなかったのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)