法相ほっそう)” の例文
この寺の院主観覚得業かんがくとくごうという人は延暦寺に学んだ者であるが、そこでは望みが遂げ難いと思って、南都に移って、法相ほっそうを学んで卒業した。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
仏を焼き、寺を焼いた炎は虚空に舞いあがり、煙は天に満ちて見る人の目をそむけしめ、聞く人を呆然ぼうぜんたらしめた。法相ほっそう三論の経典も一巻残らず兵火に消えた。
太夫房覚明かくみょうが、都を離れる時に改めた名で、そのむかし木曾殿の猛将として三軍を叱咤した彼も、今では、まったく善信の法相ほっそうをうけて、この配所では、誰よりも彼が高弟であると共に
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本戒律宗の祖鑑真は唐より薬物多く将来し、失明後もいで真偽を別ち、火葬の節異香山に満ちた。元興寺がんごうじの守印は学法相ほっそう倶舎くしゃを兼ねた名僧で、不在中に来た客を鼻で聞き知った。