油井あぶらい)” の例文
油井あぶらい伯爵の遺稿を整理していた山田三造さんぞうは、机の上に積み重ねた新聞雑誌の切抜きりぬきや、原稿紙などに書いたものを、あれ、これ、と眼をとおして、それに朱筆しゅふでを入れていた。
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一二年ぜん山田の先輩の油井あぶらい伯が歿くなった時分、伯爵邸へ集まって来たもとの政友の一人にくと、もう歿くなったと云ったのでほんとうに死んだものだと思っていたところであった。
雨夜続志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)