江月こうげつ)” の例文
例えば、江月こうげつ和尚のごとき、原伯茶宗のごとき、あるいは、一茶いっさの書なんぞは、そんなことをいって宜しいと思います。
よい書とうまい書 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
そう仰っしゃらずにといいながらもいては争わず、もうそのことは忘れたように、江月こうげつ照ラシ松風しょうふう吹ク、永夜えいや清宵せいしょう何ノ所為しょいゾと悠々ゆうゆうたる調子で吟じた。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
指南間しなんまともいえるであろう、まず床には狩野派の清洒せいしゃ細軸ほそもの江月こうげつ書額しょがく螺鈿彫らでんぼりの千鳥棚、隅には琉球朱りゅうきゅうしゅの机、中ほどには華やかな鍋島絨毯なべしまじゅうたんが敷かれてあって
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本における書道史上、有名な坊さんにしても、京都の大徳寺の坊さんは、ご承知の清巌せいがんにしても、江月こうげつにしましても、また春屋しゅんおくにしましても、非常にみな優美であります。
黄檗おうばくなどはいうに及ばず、大徳寺の名僧たちでさえ、(春屋禅師などを除いては)殆どすべてがいわゆる僧侶型に縛られている。江月こうげつ和尚の如きでさえ、大体は僧侶型を脱してはいないのである。