水腫すいしゅ)” の例文
その病気は大抵風邪というたぐい、それからチベットの水腫すいしゅ病という病のごときは日中睡って居るうちに発熱をかもして死んでしまう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
水腫すいしゅはそんなにひどくはなく、顔も思った程むくんではいなかったが、妙子がまくらもとにかしこまって挨拶しても、もう分らないらしい様子であった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この丸薬は、大先生の自慢の処方で、特に父のような水腫すいしゅのある病人に卓効を奏するということであった。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
これに依って弘庵は家に還ることを得たが牢内の湿気に冒されて水腫すいしゅを患い、七月十三日二度目の呼出を受けた時には、駕籠かごに乗り肩衣かたぎぬをその上に掛けて行った。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そうしてその色は鉛色であった。ダラダラよだれが流れ落ちた。耳の附け根からくびへかけ、水腫すいしゅがギッシリ出来ていた。うみではない「神聖な液」だ! それが水腫から流れ出していた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ことにチベットで最大難病としてわずらえば必ず死病とされて居る病気がある。其病それ水腫すいしゅ病で脚気のようではあるけれども、ちょっと様子が違って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)