水尾木みおつくし)” の例文
も帆もかじも、茫然と、水夫かこの手から忘れられているまに、船は、怖ろしい暗礁あんしょうからつき出されて、目印山めじるしやま水尾木みおつくしを沖へ離れ、果てなき黒い海潮かいちょうふなばたを叩かれていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
霧の底から海があらわれ、霧の上から朝のがさんさんと射る。一の二の洲の水尾木みおつくしも、順に点々と明け放れて、潮の満ち満ちてきた安治川一帯、紺の大水たいすい金泥こんでいを吐き流したよう。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)