氣難きむづ)” の例文
新字:気難
彼の氣難きむづかしいことも、粗暴なことも、過去の道徳上の失敗も(私は過去といふ、何故と云へば、現在は改められたと思ふから)、みなそのみなもとを運命の、むごい
でもまだ、彼は、確かに氣難きむづかしげな容子で、大きな頭を椅子の背のふくらみにもたせかけ、荒削あらけづりの花崗岩みかげいはのやうな顏にも、大きな黒い眼にも、火の光を受けてゐた。
私に對して甚しく親切なのも、私以外の澤山の人に對する不當なきびしさで差引されてしまふと私はこつそり考へてゐた。それにまた彼の氣難きむづかしさは——辯護のしやうもない位であつた。