気多けた)” の例文
旧字:氣多
自分は気を付けて各地の話を聴いていたのだが、遠州の気多けたの山村などでは、ムジナは狸のこうたものだというそうである。
狸とムジナ (新字新仮名) / 柳田国男(著)
気多けたのみさきまでずっとならんでみよ、そうすればおれがその中の上をつたわって、かぞえてやろうと申しました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
羽咋はぐいで下りて、一の宮の気多けた神社に参詣さんけいを済ませましてから、外浦へ出たまでの事ですが、それだって、線路を半道離れますと、車も、馬も、もう思うようには行きません。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
カチイモ 静岡県気多けたの山村などでカチ芋というのは、普通の里芋、この辺でエゴ芋というものの乾したのである。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そして、因幡の気多けたという海岸まで来ますと、そこに毛のないあかはだかのうさぎが、地べたにころがって、苦しそうにからだじゅうで息をしておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
さてしばしば引合いに出る遠州京丸きょうまる牡丹ぼたんの話、あれは今の周智しゅうち気多けた村大字小俣おまた京丸の一部である。人の住む在所である。路が遠くて悪いのは人家の数が少なく経済力が弱いためである。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)