歩調あしなみ)” の例文
そういう風采の人物であったが決して四辺など見廻そうとはせずに、グッと正面へ眼をつけたままで歩調あしなみ正しく歩いて来る。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
本郷の高臺にすさまじく燃え立つ夕陽ゆふひの輝き、其れが靜り返つた池の水に反映する強烈な色彩、散歩する人々の歩調あしなみ、話聲、車の往來ゆきき、鳥の啼く聲、蓮の葉のそよ
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
その思ひもかけぬ土産物から逃れようとして、彼は一目散に駈け出したが、その速いこと速いこと、血気の若者そこ退けといつた歩調あしなみで忽ち群集のあひだへ姿を消してしまつた。