此硯このすずり)” の例文
唯後ただあとのこり候親達のなげきを思ひ、又我身生れがひも無く此世の縁薄く、かやうに今在る形もぢきに消えて、此筆このふで此硯このすずり、此指環、此燈このあかり此居宅このすまひも、此夜も此夏も、此の蚊の声も、四囲あたりの者は皆永く残り候に
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)