橘之助きつのすけ)” の例文
例はいささか不穏当かも知れないが、バトリの歌を聴くと、私は晩年の名俗曲歌手橘之助きつのすけを思い出さずにはいられないものがある。
この頃になってしみじみ橘之助きつのすけを思い返す。もう東京では人気もあるまいが、しかしあれだけの芸人はいない。
随筆 寄席囃子 (新字新仮名) / 正岡容(著)
先年尾上おのえ家の養子で橘之助きつのすけといった名題俳優やくしゃが、年紀とし二十有五に満たず、肺を煩い、余り胸が痛いから白菊の露が飲みたいという意味の辞世の句を残してはかのうなり、贔屓ひいきの人々はうまでもなく
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
橘之助きつのすけら、花形スターはみな興行を中止して帰京してしまつたため、あとへのこされた先代円馬(当時若手で立花家橘松きつまつ)が旅中すつかり難渋してのこの奇喜劇ではあつたのである。
落語家温泉録 (新字旧仮名) / 正岡容(著)