槙島まきしま)” の例文
越前の足羽あすわ山中で捕えたあの玄蕃允げんばのじょうを、すぐ斬ることなく、宇治の槙島まきしまへ送らせておいた時からして、秀吉には、今日の下心があったとみえる。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奈良に滞陣したまま、きょうもまだ動かず、わずかに槙島まきしまの井戸良弘を京都へ行かせているようでは、事前に明智方としめし合わせがあったものとは思えぬ。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
檻車かんしゃをもって槙島まきしまへ送られ、虜将の生き恥に耐え忍びおるも、番士の隙あらば、ここを破って脱出し、しん予譲よじょうならうまでもなく、いつかは筑前に狙い寄り、お命をいただいて
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義昭は京都を落ちて、宇治の槙島まきしまへたてこもったが、もとより無謀、それに敗残の寡兵である。やがて信長の追撃が、平等院の川下、川上から押しわたると、一支ひとささえもなく、捕捉ほそくされてしまった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ただ今、蜂須賀どのが、槙島まきしまからお帰りになりました」——と。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)