業障ごうしょう)” の例文
いずくより吹くとも知らぬ業障ごうしょうの風の、すき多き胸にれて目に見えぬ波の、立ちてはくずれ、崩れては立つを浪なき昔、風吹かぬ昔に返すはこの盾の力である。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
立往生たちおうじょうをする代りに、籠堂へ坐り込んで一夜を明かした、が、百八煩悩ぼんのうを払うというなる初瀬はつせの寺の夜もすがらの鐘の音も、竜之助が尽きせぬ業障ごうしょうの闇に届かなかった。