桐油紙とうゆがみ)” の例文
と——こんどは、その穴へあつい桐油紙とうゆがみを一面にしき、五すんかすがいでふちをめて、ドウッと水を入れはじめる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顏と陰部とを小さなガーゼで被うてある外は、死體にのみ特有な支那の桐油紙とうゆがみのやうに鈍い冷たい青黄色い皮膚が溢れるやうな朝の光線の下に曝されてゐた。
実験室 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
草鞋わらじと、杖と、脚絆きゃはんと、それから薬だの桐油紙とうゆがみだの、山支度はすっかりしておきました」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すぐからめ手門内に入り、前と同じ奥庭の疎林そりんの蔭でまた勝入の前に平伏していた。勝入は、彼が桐油紙とうゆがみづつみから解いてさし出した血痕けっこん生々しい陣刀を受け取って、とつこうつあらためたうえ
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、ほこりだらけな渋紙をはいでみると、その下にもまた二重に桐油紙とうゆがみが掛かっていて、丹念に麻糸を巻いてあるが、もうその中はあらためるまでもなく、脇差——ということが手ざわりでも知れる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)